フォースの覚醒について-2

各登場人物について

レイについて
今年に入って4回目を観たけれど、今回選ばれたデイジー・リドリーはやはり素晴らしい。もちろん前提としてそう観せている監督や本の良さがあるわけだが、それらを生かすだけのことをやっていると思う。顔の雰囲気もEP1でのアナキン坊やを感じさせているので「なるほど隔世遺伝か」と思えたりもするのが楽しい。

さてレイというキャラクターについてだが、とにかく謎が多い。例えば彼女がほとんどの言語に通じているということ。
これは今作での登場シーンで印象づけられていて、墜落して巨大な廃墟となっているスターデストロイヤーから使えそうな部品を探しているがその顔はマスクで覆われていて見えない。命綱もなくとんでもない高所で作業をしていることから勇気と肉体的スキルが示される(ちなみにここはナウシカの登場シーンとの相似が指摘されている)。そして持ち帰った部品を磨きながら飛び立つ宇宙船に向ける眼差しは外界への憧れや好奇心が見て取れる。ちなみにこのシーンでレイが手を止めているのを咎められるのだが、これもちょっとした疑問であのクリーチャーと何らかの上下関係があるのだろうか。おそらくは廃品回収業の仲介だったりアンカーの手下だったりするのだろう。瑣末なことはおいといて、その磨いた部品をアンカーに売ってポーションを受け取る。そして寝ぐら(AT-ATの残骸)に戻って夕日を見ながら食事をする。拾ってきた反乱軍のヘルメットをかぶって…。ここは彼女の生い立ちを考えると泣けるポイントでもあるが、そうしているとまるでヘルメットの通信機から聞こえたかのようにドロイドの機械音が聞こえて来る。その「声」の元へ向かうとラガビーストに乗ったティードーが一機のBBユニットをむりやり引きずっていこうとしていたのでここでティードーに彼らの言語で叫ぶ。長くなったがこれがレイの最初の台詞だ。
そして解放してあげたBBユニットの曲がったアンテナを治して言葉を交わすわけで、この時点で3言語を駆使していることになる。このシークエンスでキャラクターのスキルや性格を極めて少ない台詞と事象で示しているというのは面白い演出だと思う。彼女はその後チューイとも会話しているのでこのままならおそらくほとんどの言語に通じていることになるではなかろうか。つまりトロい3POは不要になっていくわけでおそらくは演出上の理由でこの設定になったのだろうが、問題はなぜそのスキルを持っているのかということなんだけど、まあフォース抜きで考えるとあの辺境のジャクーで生き抜くために身につけたということかな。
そしてBB-8を奪いにきたファースト・オーダーから逃げるために初めて乗り込んだミレニアム・ファルコンでちょっとまごつきながらも「圧倒的なセンス」でタイファイター2機を撃墜(ここはガンダムのアレと相似している。名前も含めて!‥‥JJは日本のアニメが好きなんだな)。若くしてここまで何でも出来るキャラクターはSWでも初めてかなと思えるが、アナキン坊やのことを考えるとこれくらい出来てもいいかなとも思える。ルークにしてもパイロットの素養はあったし。この辺で既にレイの最大の謎である出生の秘密が暗に語られていると見るのが自然。

これまでのSWはプリクエルでアナキンが中心であり、オリジナルではその息子であるルークが中心だった。その流れに沿えばレイはルークの娘である。今作でレイが手にしたライトセーバーはアナキンが作ったものをオビ=ワンがムスタファでの決闘以降所持していたもので、それがルークに渡りクラウドシティで手首ごと失ったあのライトセーバーだということになっている。レイが手にした時のフラッシュバックはあのライトセーバーに関わった者達の記憶や念のようなものが固まりとなって彼女になだれ込んできたように見えたが、ベンが学んでいたルークのジェダイ育成機関を自ら壊滅させたときのイメージも含まれていたのはレイ本人のものかもしれない(レイも育成機関にいたパダワン)。またあの時あの場所にライトセーバーが存在していたこともありうるので、その場合はきっとベンはあれを欲しがっただろうね。崇拝するベイダー(アナキン)が作ったものだから。だからベイダーに傾倒するベンに渡さないためにマズカナタへ渡したのかも。
レイが一度あのライトセーバーを忌避するのはレイが育成機関での悲劇を経験しているから、というのが現時点での自分の見解。レイが幼少期に育成機関にいたからマインドトリックを使うアイデアもあったしカイロとも渡り合えた。

今作ではベン改めカイロが尋問などの際に他人の記憶をフォースで読み取ろうとするシーンが散見される。しかもそれはくどいくらいの描写で違和感があったが、おそらくこれはレイの秘密に関連する布石なのだと考える。つまりフォースによって記憶の操作が可能なんだとくどくど印象付けていたということで、レイにはジャクーに来る前の記憶はなくファミリーネームも不明だが、それは彼女の身を守り隠すために行われた記憶の封印によるものだと見るのが自然。そして彼女に対しては誰がそれをしたのかというとルークしか考えられない。カイロ以上の使い手でないとその封印は破られていたはず。だからまあ、マズカナタが言う所の「戻ってはこない人(家族)」はレイの母親(レイアではない)であって「戻ってこられる人」がルークであり父親なのだろう。

さて、スノークがカイロに対して言っていた「フォースの覚醒を感じるか」とは何を指していたのだろう。これは二通りの捉え方ができて、一つはカイロのこと。その場合は彼の暗黒面への純化が進んでいるということだろう。それを自覚していたから父殺しが必要だった。
もう一つはレイのことになるだろうが、その後の会話ではスノークは「その女」のフォースについて懐疑的だ。カイロにしてもレイをあなどっていたわけで(まあこれは未熟さゆえ)、この二人はレイの素性について気が付いていないようだ。ただしどう考えてもレイはスカイウォーカーの血筋のはずだからそれを感じられないのはどうかと思うが、まあ演出上のグレーゾーンになっている。深掘りしても仕方ないだろう。今回のタイトルにある覚醒はレイとカイロの覚醒ということでいいと思う。

あとはカイロがレイのことを気付いてないのかどうか。薄々とでも気付いていたとしたら見方も変わってくる。ラストの決闘では手心を加えたかもしれないのだ。カイロは父親を殺した直後にチューバッカの狙撃を受けてしまうが、これは普通ならありえないことだ。冒頭でポーがカイロの背後から狙撃したのを察知してブラスターのエネルギー弾をフォースで固定するほどのスキルは既にある。それがあの場面で出来なかったのはやはり動揺があったわけで、彼にはまだ光が残っていることを示しているがこの辺はまたカイロの項でまとめることにする。
ちなみに固定されていたエネルギー弾はカイロが去った後に本来の弾道で着弾する。ということは運動エネルギー自体は保存されていたということだろうか。まあこれもJJのハッタリだということになるかな。いやあマンガっぽい。

レイについては今の時点ではこんなところか。

フィンについて
フィンについても登場からポーと共に逃亡するシークエンスで人となりが示されている。ストームトルーパーとしてルーク捜索に関連してジャクーのトゥアナル村に派兵されたFN-2187(フィン)は戦闘中に仲間を失い動揺する。そして村を制圧した後でカイロに村人の虐殺を指示されたトルーパー達はそれに従うがFN-2187は無抵抗の人々に対して撃つことをためらう。その様子をカイロは気づいていたようだがそのままにしている。
ちなみにこの後でポー・ダメロンの逃亡にトルーパーが協力したことを報告されたカイロはそれがFN-2187だと察して、またFN-2187がトゥアナル村の出身であることを知っていたのはどうしてか。ここの考え方としてはカイロがFN-2187を見ていた時に「頭の中を読んだ」という可能性がある。他には帰艦後にデータにアクセスしていたのかもしれない。結論は出ないがここではその事実をカイロが知っていたことをあえて示したことに意味があるのとフィンが幼少期にジャクーにいたことを明らかにする意図があるのだろう。つまりフィンがレイと同じ惑星にいたという事実はどういうことなのか。それがただの偶然ではないと思うのは、フィン自身が自分の出身の村であることを自覚していなかった(そのような台詞はない)ので、そのことが彼の離反の理由にはならない。つまり離反のための仕掛けではないということで他の意味があると考えられる。この点については現時点ではこれ以上の言及はできない。
話は戻って、ファーストオーダーのやり方に従わなかったのはその残忍さを受け入れられなかったからだろう。そうであるように教育をされてきたはずだが同様に育成されてきたトルーパーとは違ったということでそれも彼の出自に起因するのかもしれない。任務を遂行しなかったことで立場を危うくしたFN-2187はポーを逃がして自分も逃げることを考える。このときのポーとのやりとりで、なぜトルーパーのお前が自分を逃すのかというポーの問いに「正しいことだから」と答えるがポーは「(逃げるために)パイロットが欲しいんだろう」と見透かされるシーンがある。この時点では何の大義もなく善意というよりも利己的な理由でポーを逃がしているのがわかる。タイファイターに乗り込む前には自分に対して「落ち着け大丈夫だ」と言い聞かせているので大胆ながらも小心さが見受けられる。またそれを声に出してしまうあたりは素直なヤツだなとも思える。タイファイターに乗り込んでからは結構大胆で今日の今日まで同僚だったトルーパーに対しても普通に発砲する。こちらは「それはいいのかよ」と思うがそこに躊躇はないらしい。
そしてスターデストロイヤーから離脱する間にポーからフィンと名付けられるのだが、このあたりのやりとりでの台詞回しはSWには今までなかったノリで新味が感じられる。ちなみにフィンにも本当の名前があるんだろうが果たして。
そして安全な星系外に逃げるつもりがポーはBB-8を回収するためにまたジャクーに戻ろうとする。そこで言い争うあたりで彼がファーストオーダーに対して強い恐れを抱いていることがわかるし、またあらためて自己保身の意識が強いこともわかる。この言い争いの中でミサイルが着弾しそのままジャクーに不時着することになる。ショックで気を失っていたフィンはポーが爆発したタイファイターの中にいたものと思い、一人で集落を目指す。
やがてニーマ・アウトポストにたどり着いたフィンは見知らぬ女性が暴漢に襲われているのを見咎めて助けようとするが、助けるまでもなくその女性は暴漢を返り討ちにしてしまう。ここでは彼の正義感のようなものが見て取れるが下心もあったかもね。やたらと手を握ろうとするし身分も偽っている。フィンについては単なるいいヤツでは済まない浮ついたところがあってそれが魅力でもあるのだが、とにかくこうしたシークエンスで彼の人となりは示された。
また「イマイチ頼りないが射撃は上手い」という設定には「のび太っぽい」なと。
フィンはその後タコダナで一度はレイ達と決別するがそれまで恐れていたファーストオーダーが攻めてくるとレイを守るために戻ってくる。一度逃げてから戻ってくることで彼の覚悟が示されるわけで、今回のエピソードでは彼の成長も描かれていることになる。
タコダナの戦いでフィンはライトセーバーを使って戦うことになるがこれも新しい。今までジェダイやシス以外が使用することがなかったし、また使いこなすことが難しいという設定もあった。どう考えても危ないしね。そうしたことからフィンもフォース感応なのかと考えることができるが、おそらくそれはないと思う。その方がこの先面白いはずだから。フィンが初めて持ったにもかかわらずあれほどライトセーバーを使えたのは単純にトルーパーとしての訓練が活かされているだけで、Z6バトンを使っていたトルーパー(FN-2199)との対決によって彼らが対人格闘のスキルを持っていることが示されている。
ここからはフィンの勇気が発揮されていってそれはレイへの思いが第一義であるようなので今後の二人の関係性も気になるところだが、純粋なものにするよりはフィンにはイロイロやらかしてもらった方が面白いのは間違いない。さて、”Finn”(Lando Calrissian’s Son)がネタバレだったのかどうか。

カイロ・レンについて
シークエルでレイと対をなすキャラクターであるが、カイロもまたこれまでのSWに見られなかったタイプ。あらためて年齢を調べてみると29か30歳ということらしい。レイとは10歳差でも精神的にはあまり違わないようだ。
アラサーでも未成熟なのは何も銀河の彼方だけのことでもないが彼がそうであるのはやはり父親譲りと言えるだろう。加えてハンとレイアは子育てに向いているとは言い難く、オリジナルではらしくもなく組織に留まっていたが大義というより義侠心の方が強かったハンは平時では役に立たない男だということはレイアのセリフにもあった。そしてレイアは結局闘争に身を置くことを好むタイプであるので、この二人の子供は、ああなるよね‥。要するに親への反発心から祖父でもあるベイダーに傾倒していったのだろうし、それをスノークは利用した。その前にルークに託されたわけだがルークも闇を抱えているタイプだしダメでしょ。
さてカイロがルークに対して抱いている印象や気持ちはどうなのだろう。ハックスからはルーク探索を「お前の私欲にするなよ」というようなことを言われているが真意は分からない。ただし今作で父殺しをしたように、カイロは叔父でありジェダイのルークを殺すことで「修行を終わらせる」目的があるのではないかと思われる。ルークはオビ=ワンがそうであったように過ちを犯した弟子に対して責任を感じているだろうから同じことが繰り返されるのでは。
前項で言及したがカイロの造形にはやはり製作陣の、とりわけJJのパーソナリティーや立場が反映されていると思う。巨大なものを引き継いで終わらせんとする者の心情たるや。レイが尋問時にカイロに向かって言った「ベイダーのような存在にはなれないのではと怖れている」というのはまさにその心情の吐露だろう。とはいえJJがそのような存在になれるとは誰も思わないだろうが、本人は真面目に高みを目指しているのかも。だからカイロもそう描かれていて、憧れとかが強すぎて出来の悪い劣化版コピーでしかないのに本人は至って本気なのだ。なるほど愛すべきキャラではある。
そして気になるのはやはりレイを知っているのかどうか。レイがやはりルークの娘であるならその存在をカイロが知っていないはずはない。当時のベンが中二病をこじらせてジェダイ育成機関を壊滅させたときが15歳でレイが5歳だとしたらちょうどいいような気もする。あのライトセーバーはこれ以上中二病をこじらせないためにマズカナタに託され、またレイはシスから守るためジャクーに送られる。カイロが「どんな女だ」と訊いたセリフはもちろん意味があるだろうから、もしやという考えが頭をよぎったのかもしれず、スターキラー基地で剣を交えているときには相手が誰なのかを理解していたと思う。ただ尋問の後でスノークに対してその可能性を触れなかったのは確信が無かったからなのかそれとも「光の部分」だったか。今回スノークに会わせなかったのはそこでバレるから。
そうなるとハンやレイアについても考えないといけないし、チューイについてもそう。でもハンとチューイについては鋭いタイプではなくフォース感応もないから無視しておいて、レイアとスターキラー基地破壊後まで会わせていないのはこれもバレるからと考えていい。そして会ってお互いを感じ、あの無言の抱擁となった。その後には全てがレイアによって語られただろう。
今後カイロがレイに対してどのような感情を抱くのか。それが既に示されたように思われるのは、最後のバトルでダークサイドへ誘っているからで、敵と言うよりもやはり身内であるという意識が強い。今回、形としては打ち負かされたもののおそらくそれは消えないだろう。それがどうストーリーに反映されていくかが大事になってくると思う。SWはスカイウォーカー家のドラマなのだから。

以下はまた次だなあ。
ハン・ソロについて
レイアについて
ルークについて
チューバッカについて
ポー・ダメロンについて
キャプテン・ファズマについて

フォースの覚醒について-1

年末までに「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」を3回(2D、IMAX3D、4DX)を鑑賞してきた。一般的な映画作品もそうだが、やはりこの作品世界はとりわけ情報量が多く、また映画をとりまく状況そのものといったメタ的な情報も膨大。そして公開前の箝口令の反動から現在進行形で新しい情報が続々と発信されているので、自分のためにもその都度感じたことや個人的な作品解釈などを適当にまとめて書き留めていこうと思い立った次第。だからちゃんと一つのエントリとして成立させる意図はないです。

作品の評価

SWの新作だから当然のように賛否が様々あってそれらはどちらも耳に入っている。それはそれでいいとして、個人的には今作への評価は極めて高い。その背景としてはEP1で感じたモヤモヤしたものがあって、それが今回はほとんど無かったから、ということが挙げられる。評価の基準点がそこだったりするから「JJよくやった」と思うよりない。いや実際EP1はダース=モールの造形とか立ち回り含めて秀逸だったり、クワイ=ガンとオビ=ワンのキャスティング込みの存在感とか全然悪くないんだけど、「イウォークで批判されたのにまたやらかしやがったなジョージ!」というのがありまして。ダグ・チャンのこととかもね。

今作は前提としてルーカスが製作に全くタッチしていないということがあり、なおかつ監督はJJなのだから期待通りでありまたそれ以上でもあったと思う。SWの根幹はルーカスが言う所の「メロドラマ」であってSFだったりファンタジーだったりは仕掛けに過ぎないのだけど、ルーカスはその仕掛けの部分に優れてはいるがどう考えてもドラマの方は本当にダメ。でもそういう個性ゆえに作品全体としては変わったものになるわけで、結果としてこのようなとんでもない作品群が出来上がったのだからそれは素晴らしいと思う。しかしこちらとしてはキャラクターの内面の表出だったり描写のアイデアなどの映画的な要素がこのシリーズに欠けていたと感じていたので、そこを埋めてくれた今作はなんと泣ける仕上がりになっていると思う。

その他にも3Dの使い方やIMAX撮影シーンなどのアイデア、両陣営の戦闘機が高い機動性でドッグファイトをする気持ち良さとか、新しい映像技術を使ったエンタメ要素でセンスが良いSWというのはオリジナル以来で、プリクエルではその要素は感じられなかったものだ。そういうセンスの良さが最も凝縮されたのがBB-8だろう。あの愛らしさはいったいなんなんだ?あれを生み出すセンスがジョージには無いことは言うまでも無い。新三部作であるシークエルではそうしたエンタメ部分での楽しさはすでに担保されたように感じている。革新性は無いにしても。

SFという仕掛けの部分で気に入ったのは。
タイファイターが砂に自重で沈んで爆発、愛らしいBB-8の重量感の描写、スターキラーの爆縮など、物理面で考えられたシーンがちゃんとあったこと。

気に入らなかったこと。
スターキラー基地の超兵器がどう考えてもおかしい。新共和国の惑星群との距離とかどうなってんの‥‥攻撃されるホズニアン・プライムから他の惑星が同時進行で見えていて初見では違和感があったがそれは同一の惑星系ということだからまあアリだけど、時空を超える超強力ビームとかは流石にやめてくれ。またミレニアム・ファルコンがスターキラー基地に侵入する方法として光速航行のままシールドを超えて急減速で不時着、しかも手動!はあ?てなるアイデアとかは酷い。それが出来るなら光速航行付きのミサイルでシールドの意味は無くなるということになるよ。この辺のハッタリは流石のJJだなと。

過剰とも思えるオマージュの連続は批判の対象だけれども、作家性のないのが作家性であるJJが監督する以上こうなるしかない。オリジナルへの敬意を十二分に払いつつ、ファンの新規開拓のミッションも課せられた製作陣が出した答えが今作なのだろう。配慮が過ぎると軽薄に感じられることもあるが、つまりそれは良く出来ているということでもあると思う。主要キャラクターに共感できてかつ魅力的であるSWは個人的には大好物だ。

ちなみにダニエル・クレイグが拘束シーンで出演していたのは007を観ていれば笑えるところ。

注目した台詞

“I will finish, what you started.”
これはカイロ=レンが崇拝しているベイダーの遺品(溶けたマスク)に向かって言う台詞で、一義的にはシスの偉大な先達でありまた祖父でもあるベイダーが始めたことを自分が完遂せんとする宣言であり祈りのようでもある。カイロ=レンはこの下りの前に「光の誘惑を感じました」というような告白があったので完全に暗黒面に落ちているわけではないことを示唆している。
この揺れ動く青年のことは別項にて触れるとして、さてこの台詞。予告編でも使われていて本編でも素直に使われていたのだけど、本編を観た初回のときにこの台詞の意味がさらによく理解できた。この台詞の本来の意味(意義)はつまるところ、”I”はこの作品の監督であるJJであり続編の監督になるライアン・ジョンソンやコリン・トレボロウであり、またその周辺の中心メンバーのことで、”you”とはまさにジョージ・ルーカスその人なのだろう。だからまさに「ジョージ、あなたが始めたこのSWを私(達)が引き継ぎ、そして終わらせます」という宣言なのだ。(ディ◯ニーに終わらせる意思が本当にあるかどうかは別)

ルーカス本人もSWの成功によって自ら築き上げたルーカスフィルム(いわば帝国)で絶大な権力と富を得ているが、プリクエルでは批判にさらされており、その後も関わった映画では評価は低い。少なくとも作家としては「終わった」感があるのは現状否めない。しかし新しい世代の旗手とも言える作家の一人であるJJはルーカスを崇拝していてその精神を引き継ぎますよとここで宣言したのはとても興味深いし感慨深くもあった。批判している層は「引き継ぐってこういうことかよ」と言うんだろうけども、個人的にはグッとくる台詞だし上手いなと思う。
あとルーカスがベイダー(闇)だとしたらカイロ=レンが誘惑される「光」とはディ◯ニーのことなのか、とか考えるとさらに面白いんだけど、まあそれはいいだろう。どっちが光なのかどちらも闇なのかとか、そもそもディ◯ニーこそが帝国だろうとかね‥。とにかくこの台詞はメタ的な意味でも示唆に富んでいて好きになった。

長くなったので各キャラクターについてはまた次項。

May the force be with you.