『インターステラー』感想

年をまたいで2回鑑賞しました。初見はIMAXで、次は通常のスクリーンで。通常でも近くのTJOYは音響でこだわっている印象なのであの低音が効果的に響いて良かったと思う。その間にはノベライズも読んでます。

初見の3時間はその長尺を感じさせない密度で、大作にしたらハードな内容だから思索に追われることになるので楽しく観ることができた。こういう作品の細部を捨てればその魅力のほとんどを失うでしょうし個人的にこのSFの世界観は極めて好みに則したものだったのでどっぷりと浸れましたね。キーワードとしたら「2001年宇宙の旅」「2010」「2001夜物語」「星野之宣」「ハインライン」「未来からのホットライン」「コンタクト」「ライトスタッフ」という感じ。全部大好きなのでノーラン先生との距離が縮まった気がします。これらについてはやはり言及しているエントリがいくらもあるようなのでまあいいかと。

ノーランと言えば独特な作品世界をいちいち設定してなおかつ破綻させないという印象。『メメント』を当時シネテリエで観て以来、監督作は全て観てるし本当に安定したクオリティで外れがない作家です。その特徴がイヤ、という層も少なからずいるかと思いますが‥。

では、ネタバレ含みます。公開終了直前だし時期的には問題ないと思いますが。

初見での感想としては傑作であるというよりもまず「好物」であるということでしたね。理由は先述のとおり。近未来の地球が世界規模で危機的状況にありその解決策として先端科学に目を向けるという構図はひと昔前のSF映画ではありがちなもので、同年代のノーランがそれらを意識したのは間違いないでしょう。あえてレンズフレアを宇宙空間のシーンで使っていたのも懐古趣味の表れみたいだし、フィルムにこだわるのもそう。そこに新味として外宇宙に人類が到達するためのワームホールという概念を持ち出すのは「コンタクト」にも携わっていたキップ・ソーンが今作も関わっていたからかもしれないが、今作のノーラン的仕掛けと言える“重力”と“時間”を作品世界の軸にしたのは新しいと言えるかも。SF小説では使い古されていると思うけど。ダークマターや重力波、膜宇宙など既知の宇宙論に関心がある人ならそういう仕掛けで考えさせられたりもするだろう。「ワームホールがなぜあのように見えるか」の説明をちゃんとやるのもよかったです。

本音としてはガルガンチュア(特定のブラックホールの名称)の影響下にある惑星系を候補に入れる、というのはツッコミどころではあるのだけど、それをしないとドラマが生じないことになるのでスルー。ミラーやマンが目標の惑星をロクに軌道上から探査もせずに着陸してしまっているのも、喫緊の問題が迫っている上に相対的な時間の流れが違っているからドカンといってみたんだね、と慮ることもできる。よってスルー‥。結構大きなツッコミどころとしては「天才」とされているマンをマット・デイモンが演じているということなんだけど。彼がとても才能のある人だとは知っているが、見た目のことや『チーム★アメリカ/ワールドポリス』での扱われ方とか知ってるから、先入観が完全に邪魔しましたね。

後は「彼ら」があの回廊のような空間にクーパーを導いたのは何故かということについて。これは考えすぎても意味のないこと(パラドックス)かもですが、とりあえず理由があったとしてそれを妄想するとこんな感じ。
あそこまでのお膳立てができる「彼ら」であれば直接出来ることがあったかと。なのにクーパーを介してマーフにアナログな手法で伝える
形式をとったのはそこに“愛”がないと時間を越えた接点を作られないから。何を言ってるんだ、という感じだけどこのことについては劇中でアメリアがその可能性を述べている(つまり伏線)。初見ではそのくだりで「何か変な方向に行きそうだな」とも思ったけど、つまるところそれ(愛)がテーマの核だったのですね。もっと言えばクーパー(とTARS)が自己犠牲によってアメリアをエドマンズの星に向かわせるくだりも必要だったのだろう。死線を乗り越えた二人に愛が芽生えて未来に繋がるし過去にも繋がる。過去への影響とは最初のワームホール通過時の出来事で、アメリアが触れたのはその後高次空間から土星付近に送られる途中のクーパーであり、この二人が時間を越えて触れたというのは愛情の表れだということになる。この作品世界では‥!
そして臨終の間際で冷凍睡眠に入り父親を待ったマーフが遥か年下の「父親」に向かって諭すように「アメリアを迎えに行きなさい」と言う。その手段(宇宙船)も人材も他にいる筈なのに、あえて彼に行かせるのはやはり意味があるから。つまりクーパーとアメリアの間に生まれた愛が成就しないと未来に影響するんでしょうな。だから父親を導く役目を最後に与えられたのかと。「彼ら」から。

ともあれ、作品にどんな矛盾点があっても愛があれば乗り越えられる(スルー出来る)というのは真実かな。個人的にはTARSの造形が白眉でした。TARSのスピンアウトが作られたら最高なのですが。

2014

さあ説明もなく行きます。※順番は新しい順

インターステラー

アン・ハサウェイ、やはり好きだなあ

★4 ホビット 決戦のゆくえ(2014/米)
★4 フューリー(2014/米)
★5 インターステラー(2014/米)
★4 ジャージー・ボーイズ(2014/米)
★3 トランスフォーマー ロストエイジ(2014/米)
★3 TOKYO TRIBE
★2 クライマー パタゴニアの彼方へ
★3 めぐり逢わせのお弁当
★2 GODZILLA ゴジラ(2014/米)
★5 her 世界でひとつの彼女(2013/米)
★5 オール・ユー・ニード・イズ・キル(2014/米)
★4 ブルージャスミン(2013/米)
★3 アクト・オブ・キリング(2012/デンマーク=インドネシア=ノルウェー=英)
★3 ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!(2013/英)
★5 ダラス・バイヤーズクラブ(2013/米)
★5 ローン・サバイバー(2013/米)
★4 ホビット 竜に奪われた王国(2013/米=ニュージーランド)
★4 キック・アス ジャスティス・フォーエバー(2013/米=英)
★4 オンリー・ゴッド(2013/デンマーク=仏=タイ=米=スウェーデン)
★5 ウルフ・オブ・ウォールストリート(2013/米)
★4 アメリカン・ハッスル(2013/米)
★4 かぐや姫の物語(2013/日)

今年は減ったなあ‥。というか何作か抜けてるかもしれない。『インターステラー』は出来るだけ情報をシャットアウトして観たので出演者の分厚さに驚いたりもしましたね。この作品についてはあらためて触れるかも。もう一回観るかもだし。

他に印象深かったのは『ウルフ・オブ・ウォールストリート』でディカプリオに笑わされたこととか、『ローン・サバイバー』での痛すぎる描写とか、『ダラス・バイヤーズクラブ』でのマシュー・マコノヒーの壮絶さとか、『オール・ユー・ニード・イズ・キル』が期待以上だったこととかトムが来福したこととか、『ジャージー・ボーイズ』がベタすぎて逆によかったこととか。あと『ブルージャスミン』でのケイトの脇汗も衝撃的ではあったか。

『ゴーンガール』は年内に間に合わなかったから年始ですかね。ではよいお年を。来年はSWが帰ってくる!