万獣こわい ー 福岡市民会館

万獣こわい

ねずみの三銃士による舞台は5年ぶりということで前回の『印獣』のエントリを読み返してみたり。前回の福岡公演は嘉穂劇場ということで本当に演者との距離が近かったです。その前の『鈍獣』はメルパルクホールでここでも前めの席でしたから演者の表情ははっきりと見えていました。で、今回の『万獣こわい』ですが、福岡市民会館の2階の入り口からすぐの席ということで今までにない距離感。チケットが届いた時点で覚悟はしていたものの、今までの色んな観劇の中でもぶっちぎりで遠いことを座った瞬間に実感しましたね。プレ先行予約ですらこの位置‥‥福岡公演では追加も出たと言うことでクドカンと三銃士の面々がホントの意味で知名度を上げている証左でしょうか。そう考えると嘉穂劇場で見られた前回の価値は上がったような気もします。

さてストーリーですが、実際にあったあの「北九州連続監禁殺人事件」を彷彿させる要素もあったりする内容ですので察してもらえれば。もちろんそれ以外にも色んな事件や事柄がモチーフになっていることでしょうが。「人間の60%は水」みたいな台詞が出るくだりでは『冷たい熱帯魚』を思い出したりもしました。
いよいよ幕が開いて何やら始まったのは落語の寄席のようなものなのだけど、高座にいる落語家はどうやら小松さんらしい。だから周りで変な怪獣もどきの着ぐるみの中にいる三人はおそらく‥‥という感じで始まったわけで、誰が誰だかにとらわれていると台詞が入ってこないから早々に諦める。でも前めの席で小ネタで盛り上がっているのが悔しくてたまらない笑。ここでドタバタやりつつタイトルの元ネタであるの説明をしてくれているわけですね。ほどなくして本編に舞台が変わるので先ほどのものが「マクラ」であったことが理解できます。こういう上手さはクドカンの本らしいなと。

三銃士の演技は凄いしアドリブやちょっとした悪ふざけも相変わらずでした。記憶してる限りの小ネタとしては「信長、家康って焼き鳥屋のことだよ」とか「これを二ヶ月やってるわけですね」、それに「WindowsかMacか知らないけど!(ノートを少し閉じて見せられ)あ、Macね」とか何故か成志さん絡みが多いですね。相変わらず情報量の多い劇なのでもう一度観れたらよかったんだろうなとは思います。ただしそれは小ネタやアドリブの楽しみが主であって、あの後味の悪さや途中のグロさをもう一度体感したいということではないです。あのラストの後で万雷の拍手とカーテンコールという流れは違和感ありまくりでしたしね。生瀬さんがカーテンコールで「あまちゃんを観てここに来てくださった方、すいません」と言うほどの内容だったのです。
ちなみに『クレイジーハニー』の公演の際にはやはりカーテンコールで本谷有希子本人が「すいません、ひどい話で」と言っていたなあ。個人的にはナイロンとか今度のねずみの三銃士とかの地方公演(どれもヒドい話)を楽しみにしてきているので、そうやって作家本人が珍しいこと言ってるなと思ったけど、たしかに『クレイジーハニー』の時はももちパレスの雰囲気がよくなかった笑。そういうのが演者にもフィードバックされてるのが伝わってくるような舞台だったのを思い出します。でもとにかく長澤まさみは素敵でしたが‥!

今回のゲストである小池栄子、夏帆、小松和重もよかったです。特に夏帆が凄くよかったと思いました。後で、そういえば「かほ」だよな‥とか思ったりしましたがどうでもいいですね。遠めからだと平岩紙に見えなくもないなとか思ったりも‥もういいか。プロジェクションマッピングぽい技法や映像も多用されていて舞台装置に凝ったところは大きめの箱ならではでした。せめて3年おきくらいに観れたらいいのだけど。

Category: culture

Date posted:2014-06-05

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